事業会社とコンサルティングのマーケティング視点を理解する「劇薬の仕事術」【書評】

2018年12月28日マーケティング, 読書・書評

マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術

マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術

マクドナルド300億円の大赤字⇒31カ月連続売上増!マスコミからのバッシング、安売りによるブランド・イメージの低下……2015年、業績の低迷する日本マクドナルドに入社、その復活まで。

マーケター、特にTwitter界隈にいるマーケターなら足立氏の名前をよく目にしますよね。足立氏といえばP&Gからキャリアを始め、ブーズ・アレン・ハミルトン、ローランド・ベルガー、シュワルツコフヘンケルといった外資系コンサルを経て最近では日本マクドナルドの復活とそれが終わったと思ったら退職してPokemon GOをやっているナイアンテックに転職したということでも話題になりました。マーケティングに携わる人間としてこういったトップマーケターはどういった考えでキャリアを踏んできたのかに興味がありそれは即買いしてしまうわけです。

この本は確かにマーケティングに関する本なのですが、マーケティング本で有名な『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』のようにマーケティングの細かい方法論を説明するのではなく、「マーケティングとは」「マーケティングを実行させるために組織をどう動かすのか」といった点が中心であり、その点で森岡氏の『マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』などに近いのかなと感じました。足立氏が「マーケティングとは経営である」と言うように、この本はマーケティング職の人間だけではなく、経営やマネージャーといった人も得られることが多い本ではないでしょうか。

人を動かす「感情、結果、KPI

マーケティングは戦略を考えたりするだけでなく、実行をすることが最も重要で難しいことです。これは事業会社のマーケターでも広告代理店でもコンサルタントでも一度実行側に回った人は確実に話すことです。足立氏はこれを実行する(=人を動かす)コツは感情・結果・KPIでしかないと言います。

感情

“人は論理ではなく感情で動く”マーケティングは企画屋だけでは成立しえません。どこの誰かわからないような人に指示を聞くことはありません。この人の話を聞いてみようかな・手伝ってあげるかという気持ちになってもらうことがまずなによりも大事で、足立氏はこれを最速で達成するために「激しい飲み会」を利用することもあります。

結果

動いてもらうことができたら次に「小さな結果を残す」ことが求められます。協力してあげたことで結果が出ると「こいつの言っていることは正しいかも」「その通りにやるとうまくいくかも」という感情が芽生えその後がスムーズになります。

これはコンサルや受託仕事でも同じことが言えると考えていて、仕事が始まった初期にある程度わかりやすい結果を出してあげるというのが関係をスムーズにするという点でとても実感があります。

KPI

“人はやりたいことかやらなければならないことしかやらない”

会社の業務や目標達成に向けて個人それぞれが自発的に最大限の力を発揮すると考えている人もなかにはいるんですが、まったくそんなことはありません。そんなことを思っているのは能天気な経営者だけで、実際にはできるだけ早く帰りたいしできるだけ仕事はしたくないと思っている人が80%はいますよね。ですので目的を決めたらKPIを設定して毎日追うことで「やらなければいけないこと」にする必要があります。測定できないものは達成できません。

本書のなかでこんな箇所がありました。

評価するための明確な数字がないということは、要は達成したいことも、責任もない、ということです。達成したいことが明確でなかったら、自発的に次のアクションを考えることもできません。

「あなたの持っている(責任を負っている)数字は何ですか?」

足立氏はメンバーに対して「あなたの持っている(責任を負っている)数字は何ですか?」を聞いたらいろいろなことがわかると言います。というかこれに答えられない人は仕事をしてるうちに入りません。2019年になろうとしているこの時代にも目標なく働いている人や組織があるんですけどなにを考えて生きているんでしょうか。働き方改革とかクソ笑います。

マーケティングに関する事業会社とコンサルティングの視点

この本でおもしろいなと感じることは足立氏が事業会社のマーケターとコンサルタントを行き来することでそれぞれの立場でのマーケティングに言及していることです。自分が事業会社にいる場合の広告代理店との付き合い方や社内メンバーの動かし方、コンサルティング側で得られる経験や能力また実行までできないもどかしさ等それぞれの立場でのマーケティングについての記載があります。そういった点で就活中やキャリアに悩む若手なんかにも非常に役立つ本になっているんじゃないかと思いました。

最後に仕事を頑張ろうと思った方に本書からの引用をプレゼントします。

仕事を頑張るのは当たり前だからです。大切なのは結果を出すことなので、結果のない頑張りは意味がありません。今では、他の人に「頑張ります」と言われると、「頑張るのは当たり前です」と返すのが口ぐせの一つになりました。

結果出していきましょう。

マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術

マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術

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