成功したければ意識ではなく場所を変えるー『成功する起業家は「居場所」を選ぶ』

2019年10月28日読書・書評

<本書の目次>
・なぜ環境が重要か
・どうやって環境を選ぶべきか
・環境を自らデザインする

久しぶりに会った友人や昔の同僚の話す内容や性格が変わったと感じることはよくある。いい意味でも悪い意味でもこの人を変化させた原因はなんだろうか?個人の意識改革やなにか突発的な事故などが原因であることもあるだろう。しかし人が変わったほとんどの理由は『環境の変化』だろう。

場所だけが自分の意思で変えられる

「自分を変えるために必要なこと」は強い意思を持つことではなく、自分が使う時間を変えること・住む場所を変えること・付き合う人を変えることだと言われる。これは起業家に限らずビジネスにおいても人生においても真理のはず。変えると影響の大きなもののなかで本書では特に自分で簡単に変えることができる「場所」を変えることを提案する。単純に住む場所だけではなくて、自分の所属やコミュニティ、ネットワークといった全体的な意味での場所のことだろう。

知識やアイデア、ハードワークなど起業家に必要なものは多岐に渡るが、すべてに影響を与えるのが環境である。物理的なものでも心理的なものでも「場所(環境)」を変えることが、付き合う人を変え時間の使い方も自動的に変えることになる。

自分の「場所」の工夫

例えばオンラインサロンという「場所」に入ると、付き合う人や考える時間(内容)にも変化が起こる。優秀な社員が多く所属する企業にいれば自然とそのレベルでの思考や仕事ができるようになる。自分の所属する組織や仕事がコンフォートな状態であれば一時的にはペインでも自分を引き上げる新しい環境を探さなければならない。

毎日の仕事場を変えてもいいのかもしれない。仕事に最適なようにデザインされている(しようとしている)オフィスはそこまでない気がするのでそんな生産性の上がらないオフィスにいるくらいなら毎日異なるところでやったほうがよさそう。コミュニティ機能のあるシェアオフィスやワークスペースでは交友が広がるかもしれない。またそれぞれの街には街特有の雰囲気があるので、それを感じてもいいかもしれない。

場所が重要なのは起業家に限らない

著者の体験談だけで終始する本ではなく、データや分析といったエビデンスを十分に上げながら場所を変える提案を行う。本書は決して「こうしたから私は成功した」というような役に立たない自己啓発ではなく、「場所」に関するエビデンスの集合である。

著者はアクセラレーターや起業サポートを行っているのでコミュニティは大事だよというポジションをとるのは自然なんですよね。それでもポジショントークだけではなく、「どこでやるか?誰とつながるか?どう訓練するか?どう仕組みを作るか?」といった疑問に対して科学的なエビデンスを示しながら説明する良書でした。

ひとつの仕事をずっと続けて、それで人生が安心なんてことが当たり前ではないことには気づいているはずです。しかし去年の自分と比べてどこまで変化を起こせているのでしょうか?自分のイメージに追いついているのでしょうか?雑に今年の目標とかを立てて弱い意志力を信じるくらいであれば、まずは「場所」を変えてしまったほうがてっとり早いと思うんですけどね。

2019年10月28日読書・書評