採用を非科学的なフィーリングでやるから失敗する『採用学』要約とまとめ

2018年1月22日読書・書評

採用学 (新潮選書)

採用学 (新潮選書)

マイナビリクナビなどのリクルーティングサイトや採用の歴史といった日本的な新卒採用の説明から、中途や海外の事例など採用全般の話から実際に採用をするのに必要なことを説明しているので起業家はもちろん企業の人事部の人にもいいですよね。(人事部のおっさんって大概クソやろ若者がんばろう)

日本的な「フィーリングのマッチ」

カルチャーマッチならまだいい。
日本の特に新卒採用は能力が問われないので面接の雰囲気などフィーリング(担当者の好き嫌い)で選考が進んでしまうことが多い。(好き嫌いというか自分と合いそうか、人間や人は本質的に同質化するもの。)
これは入社後の職務内容が曖昧であることにもあるし、学生はやりたいことがないので双方に責任があるでしょう。
面接という名の騙し合いを経て入社することになるわけで、お互い損するのにこんな制度が続いているのは、学生が一回入ったらつまらなくても稼げなくても辞めないからですよ。完全にナメられてる。
「海外にも積極的に投資をしていて社員に成長できる環境を提供しているとか盛っておけば入社するでしょひひひ」って感じですよ。
そもそもを考えれば人事部なんてあなたの人生になんの責任も持ってないですからね。数年後のあなたの成長や能力が評価されることは基本的になくて、どれだけの応募者を集められたか、どれだけ内定出せたか、内定辞退はどれだけ下げられたか、それしか評価対象にならないので責任なんてないですよ。

幼少の頃から勉強させられて新卒で月給20万って冷静に考えるとどんな罰ゲームなんでしょう。自分の頭で考えられるようにならないといけないですね。
新卒でも中途でも給与格差が進むのは必然だとうし内定は優秀な一握りの候補者に集まるので、学生も遊んでるだけではなく事業やったりすることになるので大変な時代ですね。

マネージャーの育成力は正しく評価できない

社員や部下の育成の評価は部下やチームの成果によって測られるわけだけど、それが単純な話ではない。
というのは、その育成した結果と思われるものは本当にそうなのか?ということ。
ここで世界一わかりやすい図で説明しましょう。

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「育成」というのは能力成長の角度を変えられたか?ということで最終的な結果ではないということ。育成をしなくても同じ結果になるのであればその「育成」には意味は特にないということです。
とは言ってもこんなことを細かく測ることは相当困難なので、あのマネージャはエンゲージする力が高いとかいつも励ましてくれるとか曖昧な評価になるわけです。

採用の時点で見るべき事項は?

新卒でも中途においても企業が求めるのは、コミュニケーション能力が高くて論理的思考力を持っていて、明るく自発的で人を巻き込む能力がある人でしょうか。

 

アホかと

 

アホというか戦略を立てる週間がなくてなんとなく生きていけてる企業なので将来は明るくないなという感じなので、候補者としてはこういった採用ターゲットが曖昧な会社には入らないほうがいいと思います
。盛った募集要項でこういった人を集めて内定出したら辞退されたとか悩んでるんでかわいそうです。
今後企業は採用を事業と同じレベルで戦略的に考える必要があって、「自社にとって」優秀とはなんなのか?を定義することです。
そのためにはみんなが欲しい人を狙うんじゃなくて、入社後に育成機会のあるものであれば欠点ではないと判断し、「自社の社員が置かれたタスク環境において」必要なものはなにかを具体的に定義することになるわけです。
「なにを見るかより何を見ないか」ですね。人生と同じです。深い。

「事実に基づく経営」が必要不可欠

経営の現場に入手しうる最高の科学的知識を用いる“ということです。わりと近くにあるものだとHBRとかでしょうか。ビジネス書って「なんかそうっぽいよね」という話で終始してしまうことが多いような気はしますね。

本書中で引用されていた事実の例としては、
「個人の業績に連動した金銭的報酬は、人々が相互に依存する度合いが高い時にはうまく機能しない」
であれば現代の仕事においては成果連動、成果主義的な報酬体系が機能しなくなっているのもわかります。webサービスでもなんでも複数の人や組織が絡んでますからね。
営業だって個人の力で決めるものって少なくなっていて、商品力とかインサイドセールス的なものを含む営業のデザインの役割が大きくなっている気がします。逆にフリーの営業とか他人に依存する度合いが少ない場合は業績に連動させた場合がいいってことですね。

優秀の定義は企業ごとに異なる

横並びでも成長できた時代が終わってベンチャーや中小企業、フリーといったニッチでも生きやすい時代になった。
企業の採用においては、企業が候補者を選ぶ側から候補者から選ばれる側になった。金銭的にも仕事の意義的なものも価値を提供できずに人が集められなくなった企業がどんどん無くなっていくでしょう。(人がいても勝手に死ぬんだけど)

今後は採用する側もされる側も大変な時代そうなので、採用サイトにあるどの企業も同じようなたいして内容のないテキストをたくさん見てそのなかからフィーリングで応募するところを選ぶより、応募企業は採用したい特性を明らかにして、候補者にはストレングスファインダーのようなテストやらせてそれでマッチングさせるのとかどうでしょう。(ビズリーチとかIndeedとかがこの辺やってるのかな?)

おすすめ度
★★★★☆

採用学 (新潮選書)

採用学 (新潮選書)

2018年1月22日読書・書評