【中の人が暴露】Webマーケティング業界には未経験でも転職できるの?
景気や最近の社会情勢にもそこまで影響を受けず、デジタルやWebの分野は堅調な成長を続けています。企業の採用活動においても大手からベンチャーまでWebマーケティング系人材の採用活動は積極的です。人材の需要が市場の成長に追いつかず、経験者だけでは数が足りない状態が続いています。こういったことを理由に企業は未経験人材や新卒をWebマーケティング人材として採用しています。
転職検討者の業界選びにおいても「今後も引き続き成長業界であること」や「給与水準が悪くないこと」を背景に、未経験からWebマーケティング業界へ転職を希望する人が増加しています。この記事でお伝えすることは、「未経験でのWebマーケティング業界への転職はかなりおすすめできる」ということです。現場でマーケターとして働きながら採用活動も同時に行なっている立場の人間として、
・Webマーケティングの業界に未経験で転職することは可能か?
・どんな能力やスキルが必要で
・どんなキャリアを進んでいくことになるのか?
求職者、マーケター、採用する企業側それぞれの視点で考えてみました。
Webマーケティング会社にはどんな種類がある?
「Webマーケティング」という言葉はよく使われますが、「Web」が意味する範囲は広く「マーケティング」もわかりにくい言葉です。「Webマーケティング」業界とは、ネットやデジタルを活用したプロモーション支援を生業にする企業のことを指すことが多くなっています。
専業特化から総合系まで様々
一口に「Webマーケティングの会社」と言っても扱っている商品や仕事内容は大きく異なります。Webマーケティングを扱う会社は「専業・特化型」と「総合型」に大きく分けられます。
「専業・特化型」はWebマーケティングのうちひとつの施策に強みを置いた企業です。例えばリスティング広告の運用代行会社や、SNSの運用会社、サイト制作会社など柱となる商材がある企業のことです。こういった企業はその得意分野のサービスを提供しつつ、その他関連サービスについては他社と提携したり可能な範囲で支援することになります。
「総合型」のWebマーケティング会社はリスティング広告やSNS運用のような個別の商品に特化するのではなく、それらを総合したマーケティングやプランニングを提案することで企業を支援しています。クライアントの目的に応じて、広告やPR、ソーシャルといった手段のなかから最適なものを選択したり組み合わせたりします。ただこの業界を見渡してみると、本当に総合型のWebマーケティングを提供できている会社はごくわずかであるのが現実です。
参考記事:webマーケティング会社の95%はマーケティングなんて知らない | KAIZUKAマーケティングマガジン
Webマーケティング業界によくある職種
Webマーケティング会社の募集要項では、「コンサルティング営業」や「マーケター」という職種を見かけることが多いと思います。しかしコンサルタントやマーケティングといった言葉の定義や仕事内容は各会社ごとにバラバラで統一の基準があるわけではありません。採用サイト上での職種名で判断せず実際の業務の内容を確認しなければなりません。
職種例①:コンサル/マーケティング職
支援会社のマーケティング職に求められている能力は、「クライアントの要望を解決策を自社のサービスで提供できること、課題に対してマーケティング的な視点で全体像を書き、実行まで行う」といったところでしょうか。ここは未経験で入社してすぐに成果を出せるところではないので、入社しても数年間は下積みが必要になりそうです。
職種例②:コンサル/営業職
特に「コンサルティング」という職種は実際の業務の内容を把握するのが非常に難しいので、仕事内容、業務内容を注意して見なければなりません。
求人サイトのWebマーケティング業界を覗いてみると、営業職のことをコンサルやソリューション営業やWebマーケティング事業部と呼ぶことは皆さんお気づきかと思います。入社してから毎日100本の電話営業をするというようなコンサルティング事業部もあるので、名称ではなく実際の業務内容を確認しなければなりません。
職種例③:テレアポ/営業
テレアポ業務とは、企業リストに電話をかけて担当者との面談や営業アポイントを獲得するというものです。BtoB業種は商材の単価(LTV)が高くアポイントの価値も高いため、未だに電話営業が行われている会社も少なくありません。テレアポに力を入れている企業では、ひとりが1日200〜300本の電話をかけることも珍しくありません。
テレアポ業務のよい点をがんばって探すと、「会話だけで商品説明したりゴールに向かって会話をすることによって営業の基礎的なスキルが身につく」という点があります。しかし下積みだからといって1日の大半をテレアポ業務に費すような会社はおすすめできません。Webの業界ではリスティング広告運用代行やSEO専業のWebマーケティング企業の一部でこのような職種や業務が残っている印象です。
Webマーケティング職のキャリアとは?
Webマーケティング会社に入社し業務で身につけた能力によって、その後どのようなキャリアの選択肢があるのでしょうか?業界内でキャリアを積むことも業界の外に出るキャリアも存在します。
マーケティングの上流に進む
単一の商材の提案やその活用の仕方だけではなく、施策の幅を拡げて総合的なマーケティングを提供するということです。リスティング広告会社の営業マンの場合は、どんな課題もリスティング広告で解決しようとします。しかし本当にそのクライアントが導入すべきなのはSNSかもしれませんし、アフィリエイトかもしれません。
マーケティングの上流の提案というのは、このようにひとつの商品にこだわらないで最適なものを提供するということです。ただ単純に扱う商材を増やすのではなく、企業の目的と中長期的なゴール達成のためのマーケティングプランを作成することが必要です。そのためには単一商材の営業と比べて、知識や経験の幅と深さが圧倒的に必要になります。このようにゴールへの戦略を描いて実行までの道筋を立てる人たちはマーケターと呼ばれます。
広告運用に特化する
Webマーケティングではリスティング広告やFacebook、Instagram、Twitterのような運用型広告の活用が一般的です。キャリアとしてはこれら運用型広告の運用を極めるといった道も存在します。
運用型広告を中心としたネットの広告は、雑誌や看板のように「出稿して終了」ではありません。掲載前の過程と同じくらいに掲載が開始したあとも重要です。どのターゲットに対しての広告の効果がよいのか、どのバナーがクリックされるのか、広告の文章はどれがいいか、などデータを参考にしながら常に修正を続けます。「運用」をもう少し大きな視点で捉えると、どのメディアや媒体を利用するか、予算配分なども含まれます。これらによって広告効果の最大化を達成することが運用の目的となります。
現在はネットの広告を導入する企業数も出稿額も伸びているので、広告運用者の需要や求人数は増加しています。しかし広告配信システムにおいてはGoogleやFacebookを中心に機械学習が急速に進んでいます。人間がするべきことは細かい数字を確認しながら配信の微調整をすることではなく、ゴールを設定すること・大きな絵を書くこと・機械が学習しやすい環境をつくることに変化していきます。数年スパンでみると広告運用に必要な人的リソースというのは徐々に減少していく可能性が高いと言われています。
参考記事:Googleの機会学習が広告運用業にもたらす未来を予測してみた | ジーニアスブログ
参考記事:その広告、実はAIが作ってる? アドビのAI「Sensei」のすごい実力:Adobe Summit 2018 | BUSINESS INSIDER JAPAN
事業会社への転職を目指す
Webマーケティングの代理店で培ったスキルを活用して事業会社に転職するということも考えられます。事業会社では広告やマーケティングは代理店に任せるというところもあれば、マーケティング部やデジタルの部署を拡張させたりと会社によって様々です。後者の企業は数年Webマーケティング代理店でやっていた経験は評価してくれるでしょうし、世の中における広告やWebのインハウス化(内製化)の流れで見ても事業会社への転職は可能性の高い選択肢ではないでしょうか。個人的にもWebマーケティングの代理店でくすぶっているより、事業会社のマーケティング部にもっと人が移動するといいんじゃないかなと考えています。
ちなみにWebやデジタルに限らずマーケティングのキャリアに関することはこちらの本が最も参考になりますので気になる方はどうぞ。
Webマーケティングの会社選びのポイント
Webマーケティング会社は国内だけでも数百社存在しているはずです。未経験からの転職となるとどのような業務を行っているどのような会社なのかわかりにくいですし、最終的にどこで判断するかは非常に難しい問題です。
会社をみて判断
その企業が提供しているものはなにか、とりあえず売上を伸ばしたいのか・着実に成長したいのか・利益が大事なのか、と会社の方向性は様々です。ただ個人としては所属する会社と業務内容によって得られる経験や身につくスキルが大きく変化してしまいます。私が転職を考えている企業に事前に確認したり面談で質問するなら、
・社員のうち未経験や新卒がどのくらいの割合でいるのか?
・今後の10年間でなにをやっていく予定なのか?
・どんなクライアントがいて、今後はどんなクライアントを増やしていきたいか?
このあたりを聞いておくと会社の感じがざっくりわかるかなと思います。新卒と退職率が高い会社は避けたいですし、会社の方向性の話で売上や規模が主語になる会社にまともなとことは少ない印象です。
関連記事:webマーケティング業界の将来性には期待できるがやばい会社も多いので注意
担当者をみて判断
会社のレベルはもちろんなのですが、Webマーケティング業の資産は人材でしかありません。採用面談にはその会社のなかである程度優秀だとされている人間が出てくるわけなので、その面談した社員があまり優秀でないと感じた場合には入社を避けるのが賢明です。
一方で面接担当者が優秀だからといって社員全体が優秀なわけではありません。選考のなかで実際に上司になる人や一緒に働く予定の人とできるだけ会うです。
Webマーケティングに必要な能力やスキル、向いている人
マーケティングに関心のある人にとって入社のハードルは低そうで将来的な選択肢の狭くないので選びやすい業界かもしれません。この業界で必要とされる能力やスキルにはどのようなものがありそうでしょうか。
関連記事:資格取得はWebマーケティング業界の転職でまったく役に立ちません
貪欲な学習力がある
Webの流行りや常識は変化のスピードが非常に早くなっています。数年前は非常に効果の出ていたFacebook広告も一気にユーザーは減りメインの広告媒体と考えるケースは少なくなりました。その代わりにInstagramが出てきたりTic Tokのような動画サービスをどう使うのかなど常に新しいものが出続け、過去の経験やスキルが通用しなくなることもあります。
もちろん手段や媒体が変わっても根底にある考え方は一緒なのですが、変化に適応するよるもひとつのことを腰を据えてやっていくのが向いているという職人気質の人にはもしかすると向かないのかもしれません。
論理的思考力に長けている
一昔前のCMや雑誌のような広告とは異なり、Webマーケティングやネットの広告はかなりの部分が数字で確認できるというのがおもしろいところでもあります。今まで感覚で判断するしかなかったようなどちらの広告が効果あったのか、広告費用対効果は合うのかなどが数字をベースに判断できるようになりました。
社内の仕事にしろクライアントワークにしろそこで重要なのは論理的な思考力と説明力です。デザイナーなどクリエイターは感覚でやることもありますが、マーケターに必要になのは論理的な思考力です。
まとめ:Webマーケティング業界は未経験でも転職できるか?
Webマーケティングを扱う企業には大小様々あり新卒採用は積極的に行っている企業は多いですが、未経験の中途でも転職は可能なのでしょうか?結論から言えば現在はサイバー◯ージェントさんやオ◯トさんなど大手の広告代理店でも積極的に採用を行っているので中途で狙い目な業界なんじゃないかと思います。
Web人材は常に不足しているので未経験でも採用されやすい
広告の営業も運用もまだ人が必要なフェーズです。営業すればするほど契約がとれて売上が増える段階では積極的に採用が行われます。広告やWebマーケティング業界全体としては拡大傾向にあるので、現在の事業の担当としても新規事業に移動させることを考えてもポテンシャルで採用している流れがあります。
どんな媒体や手法を使うのがいいか?
Webマーケティング業界に転職を検討するのであればどの採用サイトや媒体を使うといいか考えてみました。おすすめはWeb業界の案件が多く面談のハードルが低いWantedlyをメインにしながら、複数転職エージェントに案件を紹介してもらう方法です。
Wantedly(ウォンテッドリー)「はたらく」を面白くするビジネスSNS
(採用をする企業側からすると内定決定時の成果報酬費用がかからないWantedlyは正直採用しやすいです。)
転職を考え始めたらまず最初にすることは転職エージェントの登録です。履歴書や職務経歴書の作成はエージェントと進めるのが効率的です。
ちなみに大手の転職エージェントであれば案件数や紹介先企業にそこまで大きな違いはありません。重要なことはどの会社を使うかよりもどのエージェントがつくかです。まずは規模の大きなエージェント、その他希望業界に特化したエージェントと若手なら若年層特化のエージェントなど自分に合いそうなエージェントに3つくらいに登録しておけば担当による失敗は避けられるはずです。
リクルートエージェント
過去の実績と求人数ではリクルートキャリアがNo.1です。各エージェント個人の企業への推薦力や転職者のサポートといった総合的な営業力もリクルートキャリアの強みです。エージェントの数も多いため希望業界に適したエージェントがつく可能性が高いことも選ばれている理由です。とりあえず登録しておくエージェント。
⇒リクルートエージェントを詳しく見るマイナビエージェント
こちらも業界最大手マイナビのエージェント部門です。マイナビは特に東京・神奈川・埼玉・千葉の関東エリアの優良企業求人に強みを持っています。全業界を網羅しているので、まだ業種や業界が決まっていない人でも使い勝手がいいです。
DODAエージェント
DODAも全国規模で展開しているエージェントです。DODAには取り扱っている求人の80%以上がサイト上に公開されていない非公開求人という特徴があります。リクナビ・マイナビに並ぶエージェント大手ですので、このなかから好みで1〜2社に登録しておけばよいでしょう。
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第二新卒エージェントneoは人材大手のネオキャリアによって運営されている、第二新卒やフリーターからの転職に強みを持つ転職エージェントです。また既卒・中退・高卒・中卒・早期離職など学歴不問で就業支援をしています。
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ウズキャリ
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手厚いサポートによって書類通過率87%を超えており、ウズキャリで就職活動を行った方の83%以上が1社以上の内定を獲得しているという実績もあります。
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拠点は新宿・名古屋・大阪の3箇所にあるので、条件の合う人はぜひ活用したいエージェントです。
⇒マイナビジョブ20’sを詳しく見るWebマーケティングの業界はマーケティング的な思考が学べ将来的にも様々な選択肢があるので、この業界にいる人間としてもおすすめできることが多いです。しかし参入が安易なことからもWebマーケティングを提供する企業のクオリティにもかなり幅があります。マーケティング的なサービス提供は二の次で営業と受注を繰り返すだけのような企業もありそこでは個人/組織としての営業力は学ぶことはできますが、マーケティング的思考は身につきません。
なかなか企業の実態を外から把握することは難しいのですが、業界内での評判や社員の職種ごとの割合などを参考にすると質の悪いWebマーケティング会社に当たってしまう可能性を下げられると考えています。もちろん1社の話を聞いてもなにもわからないので転職においては面倒でも5社10社の話を聞いてみることで業界や業務内容のイメージの解像度が上がるのではないでしょうか。
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