中国のデータ活用がどのくらいヤバいのかわかった『アフターデジタル』まとめ

読書・書評

最近Amazonで本を爆買いしたなかに『アフターデジタル』がありました。「オフラインのない時代に生き残る」「すべてオンラインになった世界のビジネスの在り方」という文字がタイトルや帯に書いてあるんですけどよくわからないですよね。

この本はアメリカをはじめ中国やエストニアといったデジタル化・データ化が進んでいる国でなにが起こっているのかという具体的な事例を示しながら、デジタルがリアルを飲み込み世界、オンラインとオフラインの境界線がない世界という現在進行系ですでに起こっており今後の大きな現象を説明する本でした。日本国内にいるとこの辺のデータの重要性っていまいちわかりませんし、「中国すごい」とは聞きますがあまりイメージができません。そのような人が世界でデータ争いが行われている理由や現状まで理解できる一冊です。

オフラインがなくなる世界

「すでにオンラインとオフラインは融合しているため、オンオフと言うチャネルで分けた考え方ではなく、全てをオンライン起点、オンラインのビジネス原理で考える」というOMO(Online Merges with Offline)という考え方があります。オンラインとオフラインの区別(境目)がなくなるという意味です。

中国ではモバイル決済・QR決済が普及しているというにはいろいろなニュースでされていますが、この本質は現金を使わないから利便性が高いとかそういった次元の話ではなく、モバイル決済であらゆる消費者の購買行動のデータがとれるようになったということです。

消費者はオンライン/オフラインを意識的に区別するわけではなく、目の前に店があったら店で買うしそれが入れだったらオンラインで購入するというネットとリアルを分けて考えるといったことはデジタル化の進んでいる地域では徐々に行われなくなります。

中国の平和保険グループのすごさ

中国で最大の保険グループ中国平和保険(ピンアン)グループは銀行、保険、証券、投資期間などを持つ金融グループです。保険は一度購入するとあとは怪我や病気になるまで接点がないため、デジタル化から遠いところにいました。

しかし中国平和保険グループは「平安グッドドクターアプリ」というアプリを開発して消費者データを集めることにしました。このアプリには中国で社会問題になっていた病院の混雑を避けるための予約機能や各医者のデータ公開、オンラインによる簡易的な問診といった機能があります。

これらの機能だけでも十分便利なのですが、このデータを保険を販売するということに活用しました。これらのアプリからはすべての個人使用データが取得できるので、なにか病気を調べたり医師にネット問診を依頼すると保険の営業マンから「最近変わったことや不安なことはありませんか?」と営業が来るわけです。無料のサービスで顧客データを集めて保険を売るというそりゃ効くだろうなというモデルです。ライフネット生命とかネット保険を標榜する企業にどんどんやってほしいですね。

デジタルを取り入れるという周回遅れな戦略

新聞やニュースでは経営者様が「デジタルを活用しなければ」「デジタルを積極的に導入していく」などと発言していることはよくあります。

しかし現在必要なことは「デジタルを取り入れる」のではなく「デジタルにすべてを置き換える」ことです。スモールビジネスならいいのですが大きく戦っていこうというのであれば、ポイントとか会員証とかCRMとか小さいことはどうでもよくて、すべてをデジタル起点で考えることが必要そうです。今後はネットを強化するとか言っている経営者が存在する会社の株は手放しておいたほうがよさそうです。

国内でもソフトバンクYahoo!グループか、メッセージ発のLINEグループか、金融にも強い楽天グループあたりが中心に行動データを決済を中心に集めているのですが、海外に出ていくわけでもないでしょうしどうするんでしょうか。

デジタルは実は人間的である

デジタル化やデータ化というと無機質で人間をロボットのように扱うイメージを持つ人も少なくないと思う。

しかし実はデジタル化とは無駄を省くこととデータ活用によって適切なコミュニケーションや個別対応が可能になるためより人間的なものなのである。業務を効率化することによってユーザーに適切なタッチが可能となり、それがさらにユーザーの利便性を上げていくというサイクルに入った企業が強い。

これらの企業はユーザーの体験や享受できるメリットを最優先に考えておりそうでないと成長サイクルのスピードが上がらない。いつまで経っても不必要なメールを送り続ける楽天は見習ったほうがいいと思いました。

中国のデジタル化はやばい

「中国は進歩している」とはよく言われるんですが、どこか日本のほうが豊かで安全だと思っている人も少なくない気がします。

中国のフーマーというOMO型スーパーマーケットでは3km以内なら30分で配達するというサービスを行っています。これなら家で注文しても店舗で購入するのもユーザーからするとあまり変わらないんですよね。日本だとまだネットは翌日か翌々日、店舗なら今すぐ買えるという境目があるのですが、オンラインとオフラインの区別がなくなるというのはこれが徐々になくなるということです。

決済や行動データにあまり詳しくない人は一冊読んでおくだけで世界の常識がわかるいい本でした。

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