新規事業のKPIはどこに設定するべきか? 『リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド』

2017年9月18日マーケティング, 読書・書評

以前『Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方』を読んでリクルートの強さの雰囲気を感じていたので、こちらも発売されて即購入。日本と海外企業のいいところをとったような組織文化がなぜできるのか非常に興味深い。

『リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド』

リクルートの すごい構“創

リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

リクルートは新規事業にトップで参入するイメージはないけど、2番手3番手として入っていってしっかり結果を出すイメージが強い。それはホットペッパーの販路や大量な人間投入による営業力によるものだろうと思っていたが、そうではなく計画の段階からアイデア・新規事業を事業化する仕組みがしっかりあるようであった。

営業力においても厳しく訓練された給与の高い営業マンが売りまくっているというよりは、営業を科学的に数字にしっかり落とし込み、もちろん気合いでカバーしているところもあるかもしれないけど、手法の共有まで緻密に行われている。

新規事業についてもITベンチャーで流行ったようなリーンスタートアップ、ユニットエコノミクスがしっかりと組み込まれている。

参入のポイントになる負の発見

リクルートにおける負の発見とは、例えば価格が高いとか「単純なユーザーニーズ」ではなく「誰も目をつけていなかった」「既存の産業構造を変えるほどの大きな可能性を秘めているのか」「その負の解消は利益につながるのか」というもので新規事業参入の判断ポイントになる。

ベンチャーだったら10億のビジネスでも入れるけど、リクルートのような大企業だと数千億が見えないと入れないというのは弱みでもあるなあとも感じる。

マネタイズ設計の注意点

事業選定の際にマネタイズは重要なポイントであるがリクルートで意識されている点は決まっていてそれはどの企業でも言えること。

・クライアントが明確であること

・財布が見えていること

・利益を生むオペレーションモデルが確率できること

特に「財布が見えているか」というのは重要で、お金と時間の奪い合いが起きる。サービスでもメディアでもゲームでも「これはいいよね」というサービスは考えられるけど、以前のサービスからの切り替えをどうとるのか、なぜ起こるのかを計画しないと自分だけがいいと思っているサービスが生まれる。

KPI設定が最重要

「営業が強い会社」というのは売れる営業マンが採用できた企業ではなく、KPIの設定と人のマネジメントがうまい企業

KPI設計は最終的な目標値と最も強い因果関係があるのはなにか探っていくことが重要でこれは会社でも個人でも言えることなので重要。そしてKPIが間違っていたと判断できる場合には柔軟に変えてもいいしそうするべき。

また、多くのリクルートの系譜を引くITベンチャーでもヨミの文化が継承されているが、ヨミの本質は「今週の売上どうだった」ではなく「なぜ売れなかったのか」「なぜ売れたのか」

KPI通りに進むことが重要なので、予想の上振れもしっかり検証する必要がある。

まとめ

リクルート系の本を何冊か参考にしてみて思ったことは、そりゃこの辺はしっかりできれば起業するわなということ。文化が素晴らしいし新卒だったら入社したい。

世界を変える事業を作るのは別にして、まあまあなサイズの事業を起こして運営していくには、計画をしっかり引いてオペレーションを回すという点かなと感じる。小〜中規模の起業には非常に有効なのでもっと早く理解しておくべきだった。

筋が見えれば自己資金でも時間でも突っ込めるので、会社として数千億を目指すのか、それとも個人として小さくても利益率の高いものをやるのかの判断にも役立つ。

リクルートの すごい構“創

リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

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2017年9月18日マーケティング, 読書・書評